私の心情(13)-地方都市移住ー現地取材・岐阜

味噌汁の冷めないエレベーターの距離

2019年11月に行った「地方都市移住2000人のアンケート調査」で、地方都市移住の定量分析をいったん終え、ここからは実際に地方都市に訪問して、現地の調査を進めていこうと思っています。既に1-3月の週末は、フィンウェル研究所の活動として、いくつかの地方都市に行き、また行く計画を進めています。

まず第一弾は、自分の実家もある岐阜県の県庁所在地岐阜市を訪ねた感想をご紹介します。

JR岐阜駅の前にあるサービス付き高齢者住宅、いわゆるサ高住をみてきました。思った以上に「良い!」、いや「すごくいいな」という感想を持ちました。妻曰く「これって都内にあれば本当にいいのに・・・・」

私の両親は岐阜に住んでいます。父親はまだゆっくりとなら歩けますし、まだまだ認知症も強くは出ていませんが、すでに今年90歳になり、現在週3日のデイサービスを使っています。母親は元気で父親の面倒をみながら、近所の独り身になったおばさんたちと話をしながら生活をしています。収入は100%公的年金ですが、父親の介護関係、医療関係の支出だけが負担になっているだけで特に買い物もなく、何とかやっていけています。そんな両親がもしサ高住に住むとしたらと思って、夫婦で見学に出かけてみました。

ラシュールメゾン岐阜。岐阜県住宅供給公社が運営しているサービス付き高齢者住宅です。

岐阜駅の駅ビルを通って雨に濡れることもなくたどりつける43階建ての高層ビル、岐阜シティタワー43の3階に、1月の末、ラシュールメゾン岐阜を訪ねました。高層ビルの3階はサンサンタウンと名付けられていて、診療所、ケアマネージャーのオフィス、楽器店、有料介護付きホテル、リハビリセンター、保育所、歯科診療所、薬局などが集まるフロアです。ちなみに、1回、2階は商業施設で、レストランやテレビのスタジオなどもあります。

このビルの6階から14階までがサ高住で108戸の住居。現在130名ほどが入居されていて、平均年齢は83歳とのこと。事務の方に概要の説明をいただく間にも、エレベーターから何人もの入居者の方が出入りをされていて、確かに高齢者ですが皆さん元気に生活されている感じがしました。

現在空きになっている2つのお部屋を見せていただきましたが、いずれも50㎡くらいの広さがあり、収納スペースも広く、台所も十分の広さで、スーパーも駅ビルの中にありましたから、我々でも「これは生活しやすい」って思いました。もちろん、専用の食堂もあって食事をとることもできますが、高齢者にとっては、ちょっとした負荷をかけて買い物に行くってことも大切な生活活動にも思えます。ちなみに私は60歳ですので、入居条件の60歳以上に該当しますし、妻もその配偶者として二人で入居することも可能とのこと。

家賃はこのお部屋で11万円程度です。ただ、もう少し安い部屋でも、おひとりの高齢女性で国民年金だけの生活の場合には、決して楽な生活ではないと思います。

ところで気になったのが、15階から42階までは分譲マンションだということ。この分譲マンションには子どもさん夫婦が住んでいる家族もあるとのこと。「えっ、それって親夫婦がサ高住に、子ども夫婦はその上のマンションの分譲に住んでいるってこと!?」 これって味噌汁の冷めない距離だなと思いました。もちろん、分譲マンションのエレベーターは直結していないので、一度3回に降りてきてから乗り換えてサ高住の両親のところに行くってことでしょうけど、一緒に住むわけでもないけれど、医療・介護面でのフルサービスも受けられて、でも近くに住んでいる。ちょっとした超高齢社会の理想像の一つかも。
ちなみに、最上階の43階はフレンチのレストラン、展望がすごい! 結婚式ができるらしい。