私の心情(146)―お金との向き合い方45-英国IFA、21年は売上げ22%UP

7月21日に英国金融当局FCA(Financial Conduct Authority, 金融行動監督局)は、英国IFA業界の収益動向の集計結果を発表しました。アドバイザー業者は毎年12月31日現在の企業情報を提出することになっており、業界動向を知るには最も信頼できる情報といえますので、その概要を何回かに分けて紹介します。

社数の9割がIFA

統計データをまとめる前に、英国におけるアドバイザーの概要を説明しておきます。FCAのサイトではTypes of investment adviserという項目があり、Independent adviserとRestricted adviserの2種類があることを解説しています。前者が日本でも最近使われるようになったIFA(独立系金融アドバイザー)です。もちろん、その定義は、英国と日本ではかなり違っていて、最近では日本のIFAのなかには英国のIFAとは全く異なる業者もいるようです。

英国の定義によるIFAとは、「独立的なアドバイス」を行っているアドバイザーまたはその会社となります。ここでいう「独立的」とは、資本関係が独立しているといったことではなく、アドバイスそのものの独立性を条件にしています。具体的には、「広くマーケット全体から、多くの運用会社・保険会社が提供する金融商品のなかから選別して提供すること」、「バイアスのかかっていない、または制限されたリストのなかからの提供でないこと」が求められます。

Restricted Financial Adviser(RFA)の定義が、「1つまたは制限された範囲の商品提供者の下でその業者が提供する金融商品だけをアドバイスの対象としているもの」と定義していますので、RFAでないことがIFAの重要な条件ということもできます。

もちろん、両方を提供する会社もあって、その際にはどちらのアドバイスかを顧客に明示する必要があります。ちなみに金融アドバイスのみを行っている企業5024社(年間の損益計算書を提出しているかどうかなどの条件で合計数がデータごとに異なりますので、他の図表では総社数が違う場合があります)のうち、IFA企業数は4463社、88.8%、アドバイス・フィー収入額では、IFA企業は28.9億ポンド、56.3%を占めます。RFAは大手企業が多いことが窺えます。

 

IFAであるための条件

なお、英国では2013年1月以降すべての投資信託と保険商品において、その運用会社・組成会社から販売業者・FAは販売に関わる手数料を受け取ってはならないこととなりました(その発端となったレポート名「Retail Distribution Review」の頭文字をとってRDRと呼ぶ)ので、この点はIFAであろうとRFAであろうと必須となります。

こうしてみると英国の条件を日本に適用すると考えれば、①運用会社や保険会社からフィーを受け取ってはいけいない、②アドバイスの対象となる金融商品はあまねく市場から提供できるようにする、の2つが条件となります。

3年ぶりの高い増収率

FCAがまとめているRetail Mediation Activities Return(RMAR)は2005年に導入された制度で、投資商品、モーゲージ(不動産関連)、保険商品などを仲介する業者に課された報告義務です。そのデータのなかからアドバイザー業界などのデータを集計したのが、The retail intermediary sectorと呼ばれる統計集です。

さらにそのなかから個人向けの投資関連ビジネスを行っている業者の集計したデータを紹介します。2021年の売上げは53.7億ポンド(1ポンド=160円で、8600億円)で前年比22.2%増と急増しています。2019年0.7%増、2020年1.1%減と2年連続で停滞した後だけあって、2013年以降のデータのなかでは最も高い伸びとなりました。長引くコロナ禍とそれに伴うマーケット環境の変化で、アドバイスを求める消費者のニーズが高まったようです。

また、2013年以降進んでいるアドバイス・フィーの構成比拡大は、2021年も進み、84.8%にまで達しています(2013年は36.7%)。

過去8年、年率2割増のペース

2019年はBrexitで、2020年はコロナ禍で英国の市場環境は厳しかったもの、2021年はそれらの影響の反動からアドバイス・フィーは急増しました。2013年のアドバイス・フィーを基準にして、年率成長率をみると、2018年までの5年間は年率29.9%、2021年までの8年間では同21.6%となり、年率2割成長が戻ったという感じです。