私の心情(29)―資産活用アドバイス6-英国のIFAは儲かっているのか

英国のIFAは儲かっているのか

 年間のアドバイス・フィー収入は2500万円くらいか

前回のコラムでは、ファンナンシャル・アドバイスの企業の規模感を概観しました。かなり零細企業が多いということがお分かりいただけたかと思います。そこで、次は、どれくらい収益を得ているかを同じ英国金融当局のデータから分析したいと思います。

下の表をみていただくと、アドバイザー1人当たりの年間収入は企業規模が違ってもあまり変わらないことがわかります。アドバイザー1名の会社から50名以上(平均で1社300名くらい)の会社までいろいろな形態がありますが、興味深いことにアドバイザー1名当たりの年間アドバイス収入(個人向けのアドバイスに関する収入のみ)は、会社の規模に関係なく、ほぼ16-19万ポンドに収斂しています。1ポンド=140円で換算すると、2200万円から2700万円になります。

アドバイザー1人当たりの預かり資産は25億円以上

一方、アドバイザー1人当たりの顧客数は、平均で100名前後になっています。2019年のデータで継続アドバイスを提供している顧客数は全体で261.9万人でした。アドバイザーが2.6万人強でしたから、単純に計算するとほぼアドバイザー1人当たり98人となります。さらにアドバイス・フィーの水準は、継続アドバイスとして残高に対して年間0.5-1.0%、最初に行う初期のアドバイスは投資額の1.0-3.0%と報告されています。

これらの数字からかなり乱暴ではありますが、顧客100名ですべてのサービスの・フィーの平均が1%と想定して、年間の収入が2200-2700万円と想定すると、アドバイザー1人当たりの預かり資産は22-27億円ということになります。

よく、「英国のIFAは資産家を相手にしているので、これを日本で展開するには難しいビジネスだ」と指摘する向きもありますが、こうした金額をもとにして具体化してみると、決してそうではないというのがわかってきます。

アドバイザー規模別のファイナンシャル・アドバイザー企業の収入状況 (単位:社、人、£)

(注) 2018年12月FCAに登録し、年間収支報告を提出した企業。収入はRetail Investments Revenueのみを掲載。アドバイザーが複数の企業と契約をしているケースもあり、その場合はダブルカウントされている。(出所) Data from the Retail Mediation Activities Return (RMAR)、2019年6月