私の心情(32)―資産活用アドバイス9-RDRとは何か

RDRとは何か

前回のコラムでファイナンシャル・アドバイザーの収入構成を大きく変えたRDRに言及しましたが、今回はもう少しその背景やそれによって発生したフィーの流れの変化などについて説明します。

2001年に顧客を公正に扱うハイレベルな原則を設定

2001年6月に、投資の英国金融当局FSAは「販売時点以降における顧客との公正な関係(Treating Customers fairy after the point of sale)」と題するレポートをリリースしました。そのレポートでは、目的として「金融市場を効率的で、秩序ある、そしてクリーン市場として維持し、消費者が公正に扱われることを支援すること」を挙げ、「いくつかのハイレベルな原則(Principles)を構築して、すべての金融機関に適用する計画」であることをうたっていました。さらにその一つとして「金融機関に顧客利益を尊重させ、顧客を公正に扱う(Treat them fairy)こと」を求めると明記しています。

これって、日本でも2017年3月に発表された「顧客本位の業務運営」の考え方に似ていると思いませんか。

2004年にアドバイザーの再分類―“独立系”の意味

このレポートに続いて、2004年12月1日には、それまでのファイナンシャル・アドバイザーのカテゴリー変更を行いました。それによって、アドバイザーは、①Single-tied:1つの金融商品組成会社(資産運用会社や保険会社)の商品のみを扱うアドバイザー、②Multi-tied:複数の金融商品組成会社の商品を扱うアドバイザー、③Whole-of-market:市場全体から商品を提供するアドバイザー、の3つに分けられることになりました。

その段階で、日本でも議論となっているIFAの“I”に当たる“Independent”という意味を、フィーベースでアドバイス料を受け取っていること、また上記の③のカテゴリーである市場全体から商品を提供するアドバイザーであること、と一般的には言うようになりました。

2006年にRDR―キックバック手数料の廃止まで7年を要する

実は金融当局は何度かキックバック手数料の廃止を打ち出したのですが、反対が多くなかなか実現に至りませんでした。しかし、2006年7月にリリースした「消費者向け金融商品の販売に関する改革(Retail Distribution Review)」と題するレポートで、ついに手数料の撤廃に手を付けることができました。このレポートは、頭文字をとって“RDR”と呼ばれており、それまでの“運用会社や保険会社からそれを販売する会社やファイナンシャル・アドバイザーへの手数料の戻し行う制度を全廃し、すべてアドバイスの対価としてフィーを受け取る”ように変更しました。実施は2013年1月からでした。

図表 15  RDRによる手数料の流れの変化

(出所) 各種資料よりフィンウェル研究所作成