私の心情(35)―資産活用アドバイス12-IFAを支えるプラットフォーム・ビジネス

IFAを支えるプラットフォーム・ビジネス

ファンド・スーパーマーケット

前回のコラムでは、個人金融資産4000兆円を目指すには、小規模で全国に展開するコンビニのようなIFAを支えるプラットフォーム・ビジネスが不可欠だと説明しました。もう少し、プラットフォーム・ビジネスを英国の例で説明していきたいと思います。

英国の金融当局FCA(金融行動監督局)のハンドブックによると、ファンド・プラットフォーム・ビジネスとは、投資に関する商品またはその売買の方向性を示すような行為、第三者の資産の保全、管理業務を含み、消費者に複数の商品提供者の投資商品を提供する業務と定義されています。いわゆるファンド・スーパーマーケットのことで、オンラインによるサービス提供を前提に、投資に関する調査、売買、口座管理・モニターを行うサービス提供者といってもいいでしょう。

アドバイザー型とD2C型

FCAの報告書「Investment Platforms Market Study, Interim report, 2018年7月」によると、ファンド・プラットフォームは、IFAが利用できることを前提としたアドバイザー型プラットフォームと、消費者がIFAなどを介さず直接取り引きするD2C 型プラットフォームに分類されています。

そもそも英国の投資信託販売は直販がスタートですから、売買ではなく継続保有が重要だったわけです。さらに1999年には英国でISA(Individual Savings Account、個人貯蓄口座)が創設されており、非課税口座の取り扱いに活用できた点も、売り買いよりも口座管理に有利に働いたと考えられます。結果として、どちらのタイプでも売買手数料志向ではなく、口座管理料志向であることは同じといえます。

“独立系”を担保するプラットフォーム

第32回のコラムで書きましたが、IFAを独立系金融アドバイザーと日本語にする場合、「“独立系”とは何か」が大きなポイントになります。その定義は明確ではありませんが、英国では、2004年12月1日に発表されたFCAの報告書で、ファイナンシャル・アドバイザーのカテゴリー変更を行い、それに合わせて、IFAの“I”に当たる“Independent”という意味を、「フィーベースでアドバイス料を受け取っていること、かつ市場全体から商品を提供するアドバイザーであること」と一般的には言うようになりました。

金融機関に“所属”するアドバイザーではなく、広くあまねく提供されている商品の中から顧客に適切な金融商品とその組み合わせを提供する“独立系”のアドバイザーであるためには、プラットフォームを利用することがより重要だという側面も指摘できそうです。