私の心情(83)―お金との向き合い方26-完全独立:必要なものはスキルと楽しさ

このブログに「私の心情」とタイトルをつけながら、最近はなかなか自分のことを書けないでいました。自分の働き方に関して書いたのは3か月ほど前の4月5日付けのブログです。その後、実際に働き方が変わってバタバタしておりましたが、少し落ち着きましたので、久しぶりに私の仕事の状況を報告することにします。私の仕事の状況は、退職後の生活費=年金収入+勤労収入+資産収入のうち、長く勤労収入を得るためのサンプルだと思ってください。

退職後の“仕事”生活に必要なもの―スキル

私の起業に対して、「特別なスキルがあったからシニア起業ができたんですよ」と指摘される方がいらっしゃいます。若干うぬぼれていえば、私には相応のスキルはあると思います。しかし、そう指摘される方も「スキルを身に着ける」ことは難しくないと思います。最近は、リカレント教育が注目されるようになりましたが、まさしく新しいスキルを身に着けるのが流行りにもなってきたほどですから。

ご存じの方も多いと思いますが、私は、2019年4月に60歳で定年を迎え、5月に合同会社フィンウェル研究所を設立、それから2年間は継続雇用を続けながら、フィンウェル研究所との「複業」体制でした。そして今年4月末で継続雇用を自分から断って、現在はフィンウェル研究所の活動だけになりました。完全独立です。

マネージメントはやりたくない

そもそも社会人生活をスタートさせた会社が入社16年目で自主廃業となりましたから、私は30代後半で「会社員が常に安泰だ」と思わなくなりました。その後も外資系の金融機関での生活でしたから、ボーナスの変動は激しかったですし、雇用が継続されるという保証も低いと常に感じていました。その意味では、長く仕事を続けていくには、自分にスキルがなければならないという思いが強くあったことは事実です。

20年くらい前でしょうか、「もうマネージメントはやりたくない」と思うようになりました。普通の会社なら、課長、次長、部長、役員と肩書を上げていくことが一つの方向だったはずです。しかし外資系への転職がそうした考えに一石を投じ、さらにマネージメントという職種に対する忌避感が強くなり、再び転職をしました。その後もできる限り、チームのマネージメントや人のマネージメントから距離を置くようにしてきました。一般論としては、間違いなくマネージメントもスキルですが、私にとっては馴染めないスキルだと感じていました。その時から退職後のことを考えていたわけではありませんが、「1人でできる仕事のスキルを持つ専門職」へと自分の方向を向かわせてきたと思います。

70歳まで働ける環境に変わってきたはず

かっこよく言ったところで、それで生きていけなければ意味はありません。そのスキルで生活できるのかという点は重要です。実際、収入は、60歳までの現役時代と比べると、60‐62歳の「複業」時代には大幅減少となりました。そしてさらに62歳になってシニア起業で完全独立ですから、もう一段の大幅な給与ダウンです。しかもその給与は自分の働き次第ですから、それが維持できる保証もありません。

今年から「70歳定年」といわれています。これまで企業には、①定年制の撤廃、②65歳までの定年延長、または③65歳までの継続雇用が義務付けられていました。加えて、今年から企業は従業員が70歳まで働けるよう配慮する努力義務が課されました。そこで「70歳まで働ける」という環境が整ってきたわけですから、何も独立する必要はありません。どんな形であれ、仕事を継続することができれば、それはそれで「勤労収入」を得ることができ、退職後の生活を豊かにする可能性を秘めています。

スキルだけでは足りない―楽しさも

しかし、そうした枠組みがあったとしても、「自分はそれで70歳まで働くだろうか」と疑問も残ります。私は、きっと無理だろうなと思います。年齢が高くなるにつれて、働く意味を求める思いが強くなってきました。給与は大切ですが、何のために働いているのか、これは社会に貢献できているのか、といったちょっと高尚(?)な「働くことの意義」が必要に思います。これは、そのまま仕事の“楽しさ”に通ずるものだと思います。70歳まで仕事を続けるというのは、単に給料のためだけではない、どこかに“楽しさ”がなければならないと思います。

“シニア起業”には、そんな楽しさが隠れているように思います。もちろん、生活との両立は不可欠ですから、一気に“シニア起業”に向かうのではなく、私は「複業」時代というワンステップを置くことで、生活の基盤を確保しつつ、新しい活動の種を育てる期間を作りました。このアプローチは私にとっては不可欠なものだったと思います。

もちろん、「果たしてこの選択は正しかったのか」といつも自問自答していますが・・・・・。