私の心情(89)―資産活用アドバイス29-減収となった英国アドバイザー業界

RDR以来初めて減収となったアドバイザー業界

7月29日に英国の金融当局FCAは、2020年末の事業者の報告に基づくアドバイザー業界のデータを公表しました。まだ詳細な分析をしていませんが、まずは主要なデータを紹介しておきたいと思います。

今回特に注目したのは、リテール投資アドバイス、いわゆる資産運用アドバイスを主な業務とする5000社強の総収入が、2013年以降で初めて前年比マイナスとなったことです。2013年は、RDR(Retail Distribution Review)と呼ばれたレポートの公開をきっかけに手数料制が撤廃された年です。

2020年の総収入は43.97億ポンド、前年比1.1%のマイナスでした。手数料収入が前年比8.7%減少する中で、アドバイス・フィーの0.7%増加ではカバーできなかったという形です。ちなみに、アドバイス・フィーの構成比は83.3%と2013年の36.7%以降依然として上昇し続けています。なお、手数料収入の全収入に対する構成比は2013年には56.0%でしたが、2020年には14.4%に低下しています。

ただ、個社ベースで前年比減収となっているかどうかは、調査対象となった社数が減少していますので、この統計からだけではわからないところです。調査対象となった社数(2020年12月末に登録されていて、年間決算データを提出している企業数)は5017社と前年比で94社減っています。

減収となった背景、またはアドバイス・フィーが伸び悩んだ背景には、コロナ禍の蔓延があったことは容易に想像ができます。より具体的なデータを、次回のコラム以降で、紹介していきます。