私の心情174―資産活用アドバイス64-2023年60代6000人アンケート―500万円の収入/300万円の支出の生活

2022年に続いて2023年も60代6000人アンケートを実施することができました。この費用は全額フィンウェル研究所が支出していますが、その経費をカバーできるように多くの方から仕事のご依頼をいただけた結果だと心から感謝申し上げます。現在、調査結果の分析を進めていますが、出来上がったところから順次ブログで発表していきます。まずは、第1回目として、アンケート回答者6503人の属性を中心にまとめておきます。皆様の疑問点が次の分析の糧となりますので、疑問点等をどんどんフィンウェル研究所のホームページからお問合せください。

60代の都市生活者6503人が回答

60代6000人アンケートの対象者は、人口30万人以上の都道府県庁所在34都市の居住者を対象としています。これは、地方都市移住を調査項目の大きなテーマとしていることに加えて、資産や生活費など資金・資産関係のデータにおいて、できるだけ格差の少ない中で分析を行うことを考えた結果です。

現役・年金受給は64歳が分岐点

60代6503人を年齢別に職業の分布をみたのが下のグラフです。現役層が過半数を占めているのは60-63歳までで、64歳になると46.1%と半数を下回ります。これは年金受給者が68.1%と一気に増えることと軌を一にしています。年金受給開始年齢が65歳に引き上げられる途中のため、特別支給が行われているためです。アンケート実施の段階では、男性では64歳になると、女性では62歳になると特別支給が始まるために、64歳になると年金受給者が増える傾向が強く出ます。

世帯保有資産では大きな格差がある

世帯保有資産の塊は大きく3つに分かれます。1つは最も多い資産0円世帯です。全体の23.3%に達し、これは2022年の調査における16.8%を大きく上回っています。0円世帯がこの1年で増加したというよりも、アンケート対象者の属性がそうなっているという理解で、他のデータを読み解くときのベースになるものと考えた方が良さそうです。

2つ目の塊は500万円以下の層で19.5%を占めています(2022年の調査では19.3%)。0円世帯と合わせて考えると、42.8%とかなり大きな層になっていることが注目できます。中央値は500万円をすこしこえたところにあると推計できます。

3つ目の大きな層は2001-5000万円の層です。保有資産の平均値はこの層の大きさに引っ張られて2291.8万円となっていますが、分布としては大きなコブが2つできているということがわかります。

セグメント別に世帯保有資産の平均値をみると、3大都市居住者、現役層で多く、30万人から100万人未満の都市居住者、専業主婦・夫の層で少なくなっています。

収入の3分の2を支出

世帯年収は平均が552.9万円とかなり高くなっています。とはいえ、最多帯は201-400万円で、全体の26.6%を占めています。その次が401-600万円。また年金を受給している世帯の平均世帯年収は487.0万円とかなり高いことがわかりました。

一方で、世帯の年間生活費は平均358.3万円で、世帯年収と比べると65%の水準に収まっています。ただ、設問の関係上、この生活費のなかには税金や社会保険料などを含めて回答していない可能性が高く、こうした非消費支出を考慮するとそれほど余裕のある生活とは言えない可能性があります。ところで、この水準を家族構成によるセグメント別にみると、単身世帯が75%と相対的に高くなっている点は気になるところです。