私の心情(198)―地方都市移住56-3年ぶりの地方都市移住インタビューツアー

3年ぶりの地方都市移住の現地インタビュー

4月24-27日の4泊5日で、京都、神戸、高松の3都市を回りました。コロナ禍直前の2020年2月に徳島へ行って以来、3年2か月ぶりに地方都市インタビューのツアーです。

60代6000人の声アンケートで回答いただいた方のなかで、インタビュー可能とされた方に直接お話をうかがうのが中心ですが、それだけにとどまらず、その街の観光、温泉、食べ物など話題に上るところには行くようにしています。ちょっとした旅行気分ですが、その土地に住むとしたら何か自分にとって大切なポイントを知ることも大切です。今回のブログは、インタビューに合わせて廻ったそれぞれの街の「彩」を紹介できればと思います。

なお、京都、神戸、高松でのインタビュー記事は、私の心情(185)“だろうな”の性格を直さないと(京都)私の心情(186)退職後の生活のカギはやはり家(神戸)私の心情(187)新型コロナ罹患で知った健康の重要性(高松)として、既にブログに収載していますので、それぞれご覧ください。

特徴が異なる3つの都市

ところで、この3都市を60代6000人の声の「生活満足度」と「退職後の移住先としての推奨度」で分析してみると、かなり趣が異なっています。街の佇まいというのではなく、アンケート回答者の感覚ですが。

京都は住んでいる人の生活全般の満足度は高めですが、退職後の生活場所としてはあまりお勧めできない街、神戸は住んでいる人の生活全般の満足度は高めで退職後の生活場所としても平均以上の街、高松は住んでいる人の生活全般の満足度は低いが退職後に生活する場所としては平均以上の街、といった特徴が出ています。グラフを参考にほかの街と比べて、この3つの都市の特徴をみていただくと分かり易いかと思います。

【京都―嵐山を歩く】

4月24日朝8時12分発の新幹線で京都へ。スーツがいらない出張なだけに3泊といっても荷物は少ない。翌日の早朝のインタビューに間に合わせるために前泊は避けられないが、せっかくなので早めに行って、京都を堪能するつもり。

ホテルに荷物を預け、観光地として有名な嵐山に向かい、昼前には嵯峨嵐山駅に到着。海外からの観光客の多さに驚き。日本人が動き出す前に海外からの観光客が動いている!観光客の8割が外国人ではないか。なかでも韓国の方が目立つ。残りは日本の高齢女性。私のような高齢男性は希少。

歩きながら写真を撮るのは楽しい。インタビューをしたDさんも「歩きながらちょっとしたものに目を向けると、いろいろ発見があって楽しい街です」と強調されたが、本当にその通り。

渡月橋を渡って法輪寺に参詣してランチ。2022年9月にオープンした和食のお店MUKUは、手作り湯豆腐をはじめとして小鉢が並んでうまい‼ それにまだ知られていないのか混んでいないのは嬉しい(高めだからか)。お店の方との会話を楽しみながらの楽しい食事はやはり旅の醍醐味。

遅めのランチを終えて、渡月橋から桂川沿いを嵐山の竹林を抜けてトロッコ鉄道の嵐山駅まで。ほぼ上り坂のルートを歩みましたが、これ思ったよりもきつい。ランチのビール一杯が効いたのか途中でふらふら。これはまずい(笑)。

嵐山公園のなかは小倉百人一首の歌を刻んだ歌碑が多く点在していて、一休みする言い訳に歌碑をみて回る。紀貫之、「人はいざ 心もしらず ふるさとは 花ぞ むかしの香に匂ひける」・・・。

トロッコ鉄道、寒さに震える

嵯峨野観光鉄道のトロッコ嵐山駅から亀山駅まで30分ほどの保津川渓谷を眺める観光。折り返しで亀山駅に戻ることにして、帰りの席は敢えてオープン席。しかし、これが失敗。4月後半にも拘わらず、とにかく寒い。眠くなるほど。薄着の外国人観光客は、見るだけで寒さが募る。戻りは早く着いてくれと祈るような感じ。大きな事故があったばかりの保津川下りは休業中で、トロッコ列車のガイドさんもそのことには全く触れないままに。

嵐山に戻り、竹林の小径や天龍寺を廻ってさらに観光を続ける。天龍寺は1339年の開基とのことで700年近い歴史のある禅寺。どこに行っても外国人観光客がいっぱいで、ゆっくりと鑑賞できないのがちょっと残念。

さらに寒くなってきたので、これで一度、京都のホテルへ戻ることに。夜は、最近行きつけになった焼き肉屋へ。今日は10キロ超の歩数に。

4月25日火曜日―神戸へ

都シティ近鉄京都駅ホテルの朝食は、高齢ツアー客の一団が行列を作って混雑。コロナ禍明けで高齢者のツアーが復活している。一方、インタビューを行ったホテルグランビア京都では、外国人が多い。円安の効果で高級ホテルでも外国人には高くないのか、ホテルの戦略なのか、興味深い。

取材終了後、京都の雨を避けて、予定より早めに神戸に。と言っても神戸も雨。ドーミーイン神戸元町は、2時前にも関わらずチェックインできた。1階の喫茶店で、外をみながら夕方まで原稿執筆。本の原稿と午前中のインタビューのまとめができた。

美味い、神戸牛

4時くらいに外出、生田神社にお参り。その後、山一証券時代の同期と会食。神戸和牛大栄で200グラム10,000円の焼肉を堪能。美味かった。アルミホイルに高級神戸牛を乗せる、気楽な感じの店ながら有名人がたくさん来ているとのこと。店の高級感より、肉の味の方が大切だ。

昨年9月に定年退職した彼は現在無職。旧交を温めつつも結局は定年後の生活スタイルの取材になる。東京のマンションはそのまま残し、娘がその近くに住んでいることもあり、自身の東京生活の拠点にしている感じ。私のジョギングコースが近いのに驚き、話が盛り上がる。

あまり飲めない私が、ハイボールを3杯飲んでも全く酔わなかったのは驚き。ホテルに帰って、大浴場を楽しみ、残りの原稿を書くことができた。

4月26日水曜日―神戸から高松へ

神戸のホテルでの朝食時にも韓国からの観光客の多さを感じた。朝食後の1時間ほどで、京都でのインタビューのまとめが終わる。できるだけインタビューから日を空けないでまとめることが大切だと思う。その後、今日のインタビューの準備に。場所の確認と、早めに出向いて席の確保を。インタビュー場所は、にしむら珈琲本町店。お店の配慮で2階の奥の丸テーブルを用意いただき、楽しいインタビューに。

インタビューに集中していたからか(ちょっと言い訳かも)、店に預けていた荷物を忘れた。ずいぶん歩いてから、気づいて大慌て。急いで戻ったもののかなり時間のロス。そのおかげか、経済コラムニスト大江英樹さんにご紹介いただいた有名なお店「もん」では並ばないで済んだ。とんかつ定食が絶品、ちょっと食べ過ぎだけど。おいしいものが多いのが神戸。インタビューしたYさん曰く、「神戸に引っ越してきてから実は5キロも体重が増えてしまった」。十分に気を付けねば。

どこでも仕事ができる

5月末で閉館となる神戸の水族館が気になったが、余裕を持って仕事の準備をすることを優先。2時からのインターネットTV、ストックボイスに電話出演するための準備と電話のできる場所の確保するために、新神戸駅隣のANAクラウンプラザホテルに移動。出演までのわずかな時間でしたが、ロビーの静かな場所で原稿執筆に集中。意外にこういう隙間時間での執筆の方が、捗ったりするから不思議。ストックボイスの投信コーナーは月に1回程度で、今回は「老後2000万円問題の後遺症」と題して、60代6000人アンケート結果から14分ほどコメント。

瀬戸内海を渡る

その後も1時間くらいの新幹線までの時間で、朝のインタビューの原稿を書き、15時30分発の新幹線で岡山へ。岡山からは、2階建てのマリンライナーに乗り替え。せっかくなので2階のグリーン席に。岡山から天気は晴れに変わり、瀬戸内海を渡る時には青い空に。車窓から見える絶景に本当にわくわくする。

隣の席のスペイン系女性がずっと電話中。鬱陶しいほどに大きな声。楽しんでいるのだろうから仕方がないかもしれないが、なんだかちょっと雰囲気を壊しているような。途中で電波状態が悪くなって電話が切れてしまったので、静かになった。

骨付鳥で酒が進み

高松について、すぐにホテルにチェックイン。2面が窓のゆったりした部屋には、日差しがまだ残り素晴らしい雰囲気に。ゆっくりしたかったが、すぐに夕食の待ち合わせの場所、地元の名物、骨付鳥のお店に向かう。

当地に転勤中の方と10年ぶりくらいの再会。職場は違うが一緒に仕事をして、ロンドンへ出張に行き、懐かしい話で盛り上がる。10年ぶりの再会でも全く変わらない雰囲気。これがいい! 2時間ほどでハイボール3杯飲んだが、前日と違って私はこれでフラフラに。ホテルまで何とか歩いたもののこれで撤退。2次会に付き合えず、申し訳ないことに。

4月27日木曜日―高松城を堪能

ホテルに帰ってそのまま爆睡、翌日起きたら朝の4時。お風呂に入って、朝食までの時間で神戸のインタビューのまとめ。

食後に腹ごなしの散策。ホテルの横にうってつけの高松城。城が好きで、歩くのが好きなので、ここは本当に素晴らしいロケーション。朝早いからか、入館料200円のせいか訪ねる人は1人もいない。本当に貸し切り状態!のんびりと天守台に登って、海と繋がった堀を眺める。高松城は日本でも数少ない海城で、堀には海の魚もいるとのこと。天気もいいし、最高の気分。

城から少し歩いて繁華街にある「宗家くつわ堂」に。ここは日経新聞の記者、田村さんのご実家。小瓦せんべいを購入して、お土産に。

ホテルに戻ったが、部屋のWi-Fiが繋がらない事態に。修理に時間もかかるということで少し早めながらインタビューを行うホテル内の喫茶店で準備をスタート。併せて神戸のインタビューの原稿もまとめる。

インタビューは予定通りだったが、インタビュー相手がファイナンシャル・プランナー(FP)というのは初めて。仕事の面よりも、新型コロナウイルスに起因する間質性肺炎との闘病の話の壮絶さに驚く。文字に十分できたかわからないが、地方都市移住の場合には都市の楽しさだけではなく、医療や公的サービスなどの部分にもっと目を向ける必要があることを、改めて痛感した。

もっと余裕のある取材スケジュールも

昨夜の会食の相手から教えられたセルフスタイルのうどん屋「松下製麺所」へ、バスで。うどん屋といっても、ラーメンもあるのでまずは麺を選ぶ。両方も有り。注文した麺を自分で湯をくぐらせてほぐし、器に入れて、出汁をかけていただくというスタイル。天ぷらも好きなものを選ぶだけ。私はうどん1つと天ぷら3つを注文したが、何しろ麺と出汁が美味い。

帰りは30分くらいかけてホテルまで散策。やはり街はできるだけ歩いて確認することが重要。本当は金毘羅神社参りも欠かせないのだが、今回は時間に余裕がなくて見送り。ホテル近くで、讃岐うどんとオリーブオイルをお土産に購入。ホテルの喫茶店で、空港行きリムジンバスの時間までの30分ほど、また隙間時間の執筆。高松空港15時40分発のJAL482便で東京に。

3泊4日の地方都市移住の取材旅行は、自分が移住するとしたらどうかという目線で街を楽しむ、予行演習でもある。取材をさせていたただいた方々の言葉と、実際の街の息遣いを知ることは大切。コロナ禍で3年ほどこうした取材旅行ができませんでしたが、今年から再開です。できれば夫婦で来て、住む場所を絞り込むようなそんな都市の取材もやっていきたいところです。皆さんも、是非、旅行に行った先の街を自分が住むとしたらどうかという視点で眺めてみてください。