私の心情(224)―資産活用アドバイス91-60代の新NISA利用率46%

今年も「60代6000人の声」調査を実施

フィンウェル研究所は「60代6000人の声」アンケート調査を、2024年2月2-6日で実施しました。「60代6000人の声」アンケート調査は、人口30万人以上の都道府県庁所在34都市に居住する60代の都市生活者だけを対象としています。同じ60代といってもお金に関連する点ではどこに住んでいるかが大きく影響するため、敢えて都市生活者のみを対象にしています。2019年に調査をはじめましたが、6000人の規模で行ったのは2022年、2023年に次いで今回で3回目です。

アンケート調査結果の概要は以下の表のとおりですが、継続して調査しているテーマは、60代の移住、生活満足度、資産・年収・生活費などで、今回はこれに、新NISAの活用状況、取り崩しの実施状況、70代以上の生活イメージなどを調査項目に加えています。なお、今回の回答者は6506人です。

全体像はできるだけ早く公開する予定ですが、そのなかの新NISAに関する部分だけ先立って公開させていただきます。

60代、半数が新NISAを活用

回答者6506人のうち、「これまでNISA口座を開設していなかったし、今後も開設しない」と回答された方が3064人で最も多く、全体の47%を占めています。一方、「新NISA口座を開設していると答えた人(従来からNISAを活用していた人と今回初めて新NISAを開設した人の合計)は1943人で30%に、また「今後新NISAを開設するつもり」と回答している人も1040人、16%となり、合計すると46%に達します。

「開設しない」人と「開設した・する」と回答した人とほぼ半々になっていることを見ると、60代が思った以上に新NISAを活用していることが窺えます。もちろん、回答者は人口30万人以上の都道府県庁所在都市に在住している60代ですから、これですべての60代を代表させるわけにはいきませんが、60代は想像以上に新NISAを活用しているようです。

60代投資家の8割が新NISAを利用

そもそも60代でも投資をしている人は多いといえます。6506人の回答者のうち、「現在資産運用を行っている」と回答した人は2775人、43%となっています。2023年調査ではその比率は38%でしたので、昨年に続いて、今年も約4割の60代が投資をしていることがわかります。

投資をしている2775人を母数にして、新NISAの活用状況を分析すると、「既に開設して投資をしている人」が55%、「今回初めてNISA口座を開設した人」が6%となり、6割以上の60代投資家が新NISAを利用していることが分かりました。調査時期は2月2-6日ですから、これらの人たちは1月中に新NISAをスタートさせていることになります。また「これから新NISAを開設するつもり」と答えている人も17%に達しており、合計で60代投資家の8割が新NISAを使うことになります。

改めて60代向けの「新NISAの活用の注意点」などを伝えていく必要が大きいことを感じます。

新NISA利用者比率、年収400万円、資産1000万円超で平均以上

ところで、新NISAを活用している人の特徴を、投資をしている人と投資をしていない人との比較で分析してみました。結果は、新NISAを利用している人の特徴は、投資をしている人の特徴とほとんど被っている状況でした。投資をしている人の6割以上が新NISAを開設していますから、そうなるのも当然かもしれません。

ちなみに、新NISAの口座を開設している人の比率が高いのは、男性、会社員・元会社員、夫婦世帯、年収400万円超、保有資産1000万円超のカテゴリーでした。年齢別には60代の前半も後半もほとんど違いはなく、職業では現役で働いているか否かよりも、会社員等であるか自営業等であるかの違いが大きく出ています。

年収、資産に関して、下の表では400万円と1000万円で2階層に区切っていますが、分析ではもう少し階層を細かく分析しており、階級値が上がるほど利用している人が多くなっている傾向がありました。年収では400万円超が利用者比率で平均を上回り、資産では1000万円超が平均を上回っていました。