私の心情(91)―お金との向き合い方29-女性と投資

娘とその友人、併せて3人の女性からお金の話を聞かせてほしいという企画が持ち上がっています。いや、企画というような大それたものではなく、お金の相談をしたいという程度のことなのですが、近しいだけに却って難しい気もして、なかなか思い切ることでできていません。

「女性は投資に興味がない」のはうそ

ところこうした資産形成に興味を持つ女性が“意外に”多いのではないでしょか。特にここ数年は投資をする若い人たちが増えてきていますから、30代の女性が投資について知りたいと思うのは当然といってもいいでしょう。敢えて“意外に”と書いたのは、これまで投資教育を担当してきた経験で言えば、金融業界では「女性は投資に対して保守的だ」という見方を持っている人が多かったと感じているからです。

例えば5月に発表された「全国家計構造調査(旧全国消費実態調査)」のデータを使って、男性と女性の有価証券保有比率、世帯当たり金融資産・有価証券保有額を比較すると、いずれのデータでも男性より女性の方が低い(少ない)数値となっています。こうしたデータは、女性が投資に興味がない、または保守的であるといった指摘を裏付けるものだとみられがちなのです。しかし私はこうした見方に賛同しません。

 

 

性の投資比率が低いのは年収が少ないだけ

うしたデータを分析する際に、我々は「資産形成とか、投資といったものが年収に大きく影響を受けている」こともよく知っています。そこで、同じ全国家計構造調査のデータをもとに、年収帯別に男性と女性の有価証券保有比率を分析してみました。これをみると、ほぼすべての年収帯で、有価証券保有比率は男性より女性の方が高いのです。言い換えると、「同じ年収であれば、男性より女性の方が投資に積極的だ」ということです。

ではなぜ、女性は男性よりも数値が低くなるのでしょうか。それは年収が高くなるほどに有価証券保有比率が高くなるのですが、女性は総じて年収の低い人が多いからなのです。年収を無視して、性別だけで平均を計算すると、女性の有価証券保有比率が低くなるというだけなのです。平均というデータの持つ危険な側面ですね。

繰り返しますが、同じ年収帯でみると女性の方が男性よりも有価証券保有比率は高いのです。